心鈴泉-心理学とカウンセリング

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愛する人からのダメ出し

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愛するパートナーからダメ出しをされたことはあるでしょうか?
ダメ出しされる内容次第では、そこに同意できるものもあれば、全く同意できずに、むしろ何を言っているのかわからないと感じることもあるかもしれません。

ダメ出しをされる時、相手からは怒りを一緒に表現されることも多いと思います。こちらも怒りを感じることがあり、ダメ出しされることがきっかけで、微妙な雰囲気になったり、ちょっとしたケンカのような状態になることもあると思います。

相手からのダメ出しを聞いた時、その言葉に耳を傾けようと自分が思えるような状態なら、あまり問題になることはないのですが、そういう感じでないのであれば、自分と相手の考え方や気持ちに距離感があるような状態です。ある意味では、コミュニケーションが求められるところです。


ダメ出しをすると言うことは、相手はその指摘内容を正しいと思っています。本当にそれが正しいのかどうかは置いといて、相手はそう思っています。腹の立つ話かもしれませんが、指摘に対してあなたに問題のある状態を正すのが当たり前だと相手は思っていて、それをできていないあなたが悪いと思っています。

どちらが間違っていて、どちらが正しいのか、というのを考え出したり議論し始めると、非常に攻撃的な、あるいは、防衛的なやりとりになります。コミュニケーションに目的があるとしたら、それは2人がつながること、なのですが、どちらが正しいのか、という話の延長線上には、つながりと言うより、正しさがもたらすへだたり、が見え隠れします。

じゃあ、どうすれば良いでしょうか?
相手の言うことが正しいのだとあなたが無理矢理にでも同意して、あなたが自分の心をぐーっと押し込めることが、正しい、でしょうか?
それとも、戦って相手が何も言えなくなるまで、自己正当化をした方が良いでしょうか?

この正しさの証明がとっても大切だと思えるようなケースであれば、戦いが必要なことも、もしかしたらあるのかもしれません。もちろん、無理矢理な自己犠牲もやめた方が良いのですが、ただ、愛するパートナーとのやりとりで、正しさよりも大切なものがあると思えるのであれば、その戦いへのこだわりは一旦手放した良いです。


戦いへのこだわりを一旦手放して、まずは、自分と相手との間にある距離感を感じてみてください。自分が思っていることや感じていることと、相手の思っている正しさの間に、距離があるんだな、って。無理矢理どちらかがもう片方に合わせなければならないのではなく、まずは距離がある、ということを、受け入れてあげてください。

相手はこちらにダメ出しをしているわけですから、相手はその距離を受け入れておらず、あなたがこちらに来るべきだ、という考えにとらわれている状態にはなっていますが、まずは、あなたがその距離を受け入れてみてください。距離が受け入れられるようになると、相手に対して、あなたが私に合わせるべきだ、とあなたが思わなくてよくなります。相手には相手の考え方やこだわりがあるのだな、という見方ができるようになります。

ダメ出しをしてきているということは、ある意味では、あなたにその意見を押し付ける感じは出ているのかもしれません。そこに対しても距離を意識してみてください。相手はあなたに強要しているつもりでも、あなたがそれに付き合わなければならない訳ではないです。

あなたが相手の意見に同意して、そうした方が良いな、と思った度合いだけ、あなたは動いた方が良いです。ここはあなた自身が主体的に考えて選択するところです。同意できないことに無理やり付き合うと、あなたの主体性は失われ、そのパートナーとの関係性に無理が生まれてきます。

もしかしたら、相手は、この意見がわからないような人とは付き合えないとか、怒りや怖れを使って、あなたをコントロールしたい気持ちが出てきて、それが前面に出てきているかもしれません。とても否定的なメッセージを使って、あなたがその意見に耳を傾けるように、強要したい意思を出しているかもしれません。ただ、そうだとしても、あなたがやることは同じです。相手の態度ではなく、その意見の内容をよくみてください。誰が言っているとか、どういう雰囲気で言っているとか、周りはどういう風に自分をみるだろうか、とかは脇に置いといて、その内容そのものに注目してください。内容が何よりも大切です。なんだかバカなことを言われているな、とか、おかしなことを言われているな、と思うのであれば、相手との関係性は置いといて、その言われている内容自体には、あなたは価値をみていない、ということになります。

その内容に価値があると感じるのなら、あなたはその意見に対して主体的に耳を傾けた方が良いですし、価値を感じないなら、では、その頑なな相手に対して、どう対処するのがベターかを考える、という立ち位置になります。そこにあなたが自分自身を否定しなければならない要素はないです。もし、価値を感じない内容に対して、あなたが自己否定をしてしまっているのだとしたら、あなたは多分何かを勘違いしています。当たり前ですが、価値のない意見から形作られた人の判断基準を使って、自分自身にダメ出しをする必要は全くないです。価値がない意見には耳を傾けず、それは自分自身の価値を決めるものではない、と主体的に考えるだけで良いです。


あなたにとっては価値を感じないことを相手が意見してきているのだとして、2人の間に距離があるのだとして、では、どうするのが良いでしょうか?
わけのわからないことを言ってきているだけだから、もう、ほっといていい、でしょうか?
あなたにとって、どうでも良いと思える人なら、距離をとって深く付き合わない、というだけでも良いのかもしれません。ただ、その意見を言ってきているのは、あなたの愛するパートナーです。

自己否定や無理矢理な犠牲はしない方が良いです。そういう意味では相手の意見に対してスルーした方が良い部分もあるのですが、自分にとっては価値を感じないからと言って、愛する人のものの見方や意見を全否定してしまうのは、ちょっともったいないです。

相手の考え方や感じ方に寄り添えるような部分や、理解できるような一面はないでしょうか?
なんであの人はそんな風に感じるのだろうか?
どうしてそんな風に考えるのだろうか?
そんな風に思いを巡らせてみたら、何か気づけるような部分はないでしょうか?

ここでは、距離を受け入れる、という状態からの、次のステージがあります。それは、コミュニケーションの橋をかけて、つながる、というものです。

距離を受け入れることができなくて、相手のコントロールに屈しないとダメだとか、どうしても自己否定してしまうようなら、まずは、その状態から脱却することを目指した方が良いです。ただ、もし、その状態はクリアできていて、自分と相手は違う人間で、違うものの見方をしていても構わないし、自己否定する必要はない、と思えるような状態に至っているなら、次は、じゃあ、その意見の異なる相手にどう寄り添っていくか、ということを考える方向にスイッチしていくことを考えた方が、より良いものを受け取ってくことができるようになります。


相手と自分が100%全く同じ考え方や認識を共有しなければならない訳ではないです。100%の調和ではなく、今のありのままの状態を受け取って、そこからつながる、ということが大切です。意見のすれ違いが出てきたところから、期待が外れたとか、裏切られたとか、受け入れられない、というところに踏み止まるのではなく、そこからつながろうとするときに、やり方は創造的に出てきます。パートナーシップのあり方次第で、ここには2人にとってちょうどいいやり方、というのが作られていくもので、ここに正解がある訳ではないです。やり方はあくまでただの手段ですので、そこは創意工夫が求められるところで、正解があるものでもないですが、目的はつながるということです。

そのためには、今の距離感のある状態から目を背けるのではなく、ここは2人にとって、ぶつかりやすいところなんだな、という認識を持つことが大切です。そのことについては、認識を共有できるように、相手とコミュニケーションしてみても良いかもしれません。
「ここでいつもぶつかるよね。」
「そうだね。」
どちらが正しいのかは置いといて、ここでいつもぶつかるんだなって認識を共有することで、そこにどう橋をかけていけばいいか、それぞれに、あるいは、一緒に考えるためのスタートラインを作ることができるかもしれません。

正しさは押し付け合うものではなく、お互いにそれぞれ持っているもので、距離感が生まれている部分については、そこにどう橋をかけるかについて、一緒に知恵を絞って創意工夫していくときに、パートナーシップの力が生かされていくものです。片方だけが考えて対処するのではなく、コミュニケーションが求められてくる部分です。

パートナーシップのありようによっては、そこが完全一致していないのは嫌だ、という感覚が生まれることがあるかもしれませんが、それは、幼さの象徴、と言えるかもしれません。幼さを手放して、より成熟した形でつながるとしたらどうしたらいいのか、ということを考えたときに、パートナシップに創造的なものを呼び込んでいくことになっていきます。

これはある意味では、パートナーシップの中に、チャレンジしていくような部分を作り出していくということにもなります。どちらかがどちらかの言うことに従って、ただ受け入れるだけだと、創造的な要素はパートナーシップに生まれてこないです。2人の衝突を妥協や諦観で乗り越えるだけで、いつも同じパターンの繰り返しだけになると、関係性は退屈になり、無味乾燥したような状態になっていきます。


怒りが生まれているところには、相手からの、助けて、のメッセージが込められていることもあります。ダメ出しをされたときに自分の身を守りたくなるかもしれませんが、相手の話によく耳を傾けてみると、そこには、相手の心の痛みがあり、それを感じるような出来事があなたの振る舞いによって引き起こされていて、それをやめてほしいから、あなたにダメ出しをしている、というケースもあります。素直に助けてという代わりに、あなたへの否定のメッセージを使うことで、あなたをコントロールして、自分の心の痛みから身を守るということを相手がやってしまっているということがここでは起きています。

そこで求められることは、戦いではないです。相手の心の痛みについては、もしかしたら、相手が取り組まなければならない部分もあるかもしれませんが、パートナーであるあなたに相手をフォローしたり、サポートしてあげられる部分は少なからずあります。

痛みが強い度合いだけ、相手の態度は頑なになり、扱いにくくなるかもしれません。そんな時ほど、相手の心の痛みの部分を見てあげてください。自分のダメな部分に目が行くと自分が辛くなりますが、相手の心の痛みに意識を強く向けながら、相手の話を聞くと、辛いというより、自分の愛するこの人に対してどうしてあげるのがいいんだろうか、という気持ちで聞くことができるので、気の持ちようとしては、戦うよりも楽です。サポートするためにあなたにできることをして行くということと、あなたと一緒であれば、心の痛みに関して相手なりに対処するということができるようになった時、パートナーシップはより豊かになっていきます。そういったことがお互いにできるようになれるほどに、お互いがお互いにとってかけがえのない存在になっていきます。


愛する人からダメ出しをされた時のことについて、私なりに掘り下げて書いて見ました。2人が衝突するようなところには、パートナーシップを通して学べるところというのが、衝突の向こう側にあります。それを受け取ることで、パートナーシップをより豊かにしていけるというのをぜひ体験してもらえれば、なんて思っています。

ここに書いたことで、何かしら役立つような部分があれば幸いです。