心鈴泉-心理学とカウンセリング

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親との癒着

<a href="https://www.ac-illust.com/main/profile.php?id=vJLuILOv&amp;area=1">ダーダー</a>さんによる<a href="https://www.ac-illust.com/">イラストAC</a>からのイラスト

親との結びつきが強すぎるあまりに、その人にとって親のことが重荷になってくる、ということがあります。よくあるケースとしては、母親との間に癒着があり、その母親からの干渉がうごくわずらわしかったり、母親が感情的になりやすいタイプで、その母親の感情に自分が振り回されてしまうことで、だんだん自分が辛くなってくる、といった感じのものです。

癒着があると、何かと相手のせいにしたい気持ちが湧いてきます。親がXXXしなかったら、余計なことを気にしなくていいのに、とか、親がXXXだったら、もっと楽だったのに、など、色々と思うところが出てくる、という感じかもしれません。ただ、ここで重要なのは、癒着がある場合には、相手がどうであれ、まずは自分自身がどうしたいのか、というポイントです。


主体性を発揮すること。

相手がXXXだから、自分はXXXをする、というように、相手に行動や態度に反応して何かを考えたり行動したりするのではなく、自分はこう思うからこうする、とか、自分がこうしたいからこうする、といった部分をより重要視していくことが大切です。これは言動だけではなく、自分が感じる感情に関しても似た感じのことがいえます。

自分の感情に責任を持つこと。

例えば、腹の立つようなことを言われて腹が立ったのなら、相手が悪い、と言いたくなります。それはおそらく、私が実際にお話を聞かせてもらったとしたら、その状況であれば腹がたつのはすごくわかります、って私もたぶん答えると思います。ただ、自分が感じている感情には、その感情を起こす思考回路のようなものが自分の頭の中にあり、相手がしてきたことに誘発されてはいるものの、最終的にその感情を選択しているのは、自分、という部分が少なからずあります。癒着があると、この「自分が感情を選択している」ということが非常にわかりにくくなります。相手と自分の感情の境界線がすごく曖昧になり、相手がイライラして怒りをぶつけてきたら、自分もほぼ自動的に怒りを感じてそれが抑えられなくなる、という感じになりやすくなります。ただ、それでもその感情を選択しているのは自分自身です。相手のことを責めたくもなるのですが、その前にまず、自分がその感情を主体的に選択しているのだな、ということを受け入れること。それができたときに、初めて、それ以外の感情を選択する許可を自分自身に出してあげることができます。

物理的に、あるいは、経済的に、親との関係性が密接に絡まっているようなケースもあるかもしれません。逃れたくても、粘着的に親との絡みがどうしても生まれるような関係性もあるかもしれません。その場合には、何が正しいのかというより、自分はどうしたいのか、にこだわってみてください。


ただし、親を変えようとはしないこと。相手を変えようとするのではなく、自分がその癒着のある状態から抜け出すということに注力し、相手の行動に対して心理的な距離を自ら開けて、自発的な選択をしていくということが大切です。相手からの干渉に対して、相手が感じているのと同じ感情を選択するのではなく、主体的な反応をしていくことで、相手と自分との間の境界線があいまいになっている状態から、まずは自分だけでも抜け出していくということが大切です。

癒着を手放すという時に、何か相手を見捨てているかのような罪悪感を感じることもあるかもしれません。もし、そんな感覚を覚えることがあったのなら、見捨てるのではなく、これがお互いのためにとってよくない状態だから、自分のためだけではなく相手のためにも、距離を置く、という見方を取り入れていただけた方が良いかもしれません。癒着を手放すことができれば、自分が相手に対して心理的に余裕のある状態を作れますので、もっとよりよい形で関係を構築することができます。もっと自然に相手のことを思いやったり、労わったりすることができますが、癒着がある場合は、それどころではない感じになりがちです。


心の中で親を責める代わりに、感謝できることがないかを探してみてください。普段は相手に対して否定的な想いや、怒り、犠牲的な感じ、などなど、軽い感じというより、ちょっと重たい感じの感覚が強いかもしれません。ただ、やってもらって嬉しかったことや、ありがたかったことなど、感謝の気持ちも探すとたくさん出てくると思います。感謝できることを思い起こしてもらって、心の中で相手にそれを伝えるところをイメージしてもらうと、心がふわっと軽くなるような感覚を感じることができると思います。

その軽い感じが出てきたら、その相手から一歩遠ざかる、というイメージをしてみると、その分だけ、相手との癒着の重たさが少し軽くなった感覚を少し感じることができると思います。心の中でどんどん感謝できることを相手に伝えていって、どんどん相手から離れていくところを想像して、自分の心の中にある癒着の感覚が軽くなっていく感覚を感じていくということができれば幸いです。

相手との癒着があって、怒りをぶつけやすくなっているようなときほど、相手に対する感謝というのを意識してみてください。自分が変わるとそこから受け取れるものも変わっていくということを、ぜひ体感していただければと思います。


あなたが癒着を手放そうとしているときでも、親の頭の中ではあなたとの間に癒着が残っている状態を維持したままで、あなたに接し続けてきます。そんなときほど、あなた自身が癒着のある状態から距離を置くことで、あなただけでも癒着の弊害から逃れることが大切です。少し割り切った感じにはなるかもしれませんが、親があなたに癒着し続けることで親が苦しみを感じることになるのは、究極的には、親自身の課題です。親はあなたに癒着する、ということにおそらく執着があります。年数がかさむほどにここを手放すことへの抵抗感は増していきますので、仮にあなたが親にそれを手放させるようなこと(説得するとか諭すとか)をした場合、おそらく激しい抵抗があります。あなた自身が癒着を手放していない限り、親も癒着を手放すことができないので、罪悪感を感じる部分もあるかもしれませんが、親のことはおいといて、まずはあなた自身が癒着を手放すということが何より大切です。

親との間に癒着があるように感じられるときは、親があなたにどんな感情を揺さぶることをしてくるのであれ、ただ、あなたは親への感謝を忘れることなく、ただそっと癒着を手放してあげるということ。正しさをもって相手を批判して自分の正当性を守ろうとするのではなく、感謝の気持ちを抱きながら、そっと、癒着のある状態から離れてあげるということ。それができたときに、今よりも少し楽な自分を受け取ることができたのならば、幸いです。